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2008年01月29日

【 残念::egbridgeの開発/販売終了 】

仕事で初めて使ったMacintoshはIIfx。こいつにRadiusのビデオ・カードを放り込んで、21インチのCRTを繋いでいた(当時はなかり巨大と言われた)。ベンダーとして、アレコレと世話してくれたのはtoo(当時はまだ画材屋で「いずみや」と言う屋号だった)。キャノ販もソリューション・ベンダーとして付き合ってくれてはいたが、帳合いはすべてtooからだったと思う。個人的にはPowerBook 100も使ってはいたが、仕事でつえるような代物ではなかった。見た目と堅牢さとトラックボールの簡潔さに惚れて、勢いで買ってしまっただけ。

今から17年程前か。考えてみれば、時が経つのなんてあっと言う間だ。

当時のMacintoshには「ことえり」以上に使い物にならない冗談のような超原始的なFEP(Front End Processor)が日本語入力機能として備わっていた。マルチリンガル環境を謳う以上、仕方なしに実装された本当に必要最低限の機能だった。ひょっとしたらInside Macintoshの「TEXT」を作成するために、デモ用につくられたのではないかと思える代物だった。

別に日本語を日常で扱わないと言うのであればそれでも問題ないのだろうが、ここは日本、そう言うワケにはいかない。当時は他に選択肢もなく、そんなわけでキチンと使えるFEPとして選んだのがegbridge。なんとも軽快で間違いの少ない変換に感動したのを覚えている。

日本語の入力はすでに富士通のシステムに慣れ親しんでいたのだが、それでもあっと言う間にegbridgeを使った環境に身体が慣れた。それほどまでに素直な、人間工学に基づいて設計/開発されたFEPだったのだろう(と思う)。

その後、私はずっとMacintoshの日本語入力環境にegbridgeを使い続けてきた。もうひとつの選択肢としてATOKが登場した後も、浮気をせずにバージョンアップを追いかけ続けてきた。社内のMacintoshが増殖していくのに合わせて、社で購入するegbridgeの数も増え続けた。最終的に50台前後にまで増殖した社の制作部隊のシステムのMacintoshの全てにegbridgeを購入していた。たとえそれがサーバ機であったとしても、馬鹿な「ことえり」がそこにあることで何か問題が生じそうで、もれなくegbridgeをインストールしていた。考えてみれば、それほどまでに愛着があり、辞書を鍛えてきたという自負もあったのだと思う。目に見えないそういうものが、ネットワークで構成されたシステムの中で動いていることにとても安心感を覚えたのだと思う。

1999年以降、私にとってMacintoshはセカンダリ・マシンになった。

第一の理由は、サラリーマンを辞め、職種が変わり、旧Mac 0Sでのアプリケーションやユーティリティ開発に携わることもなくなったこと。もちろんOS Xへの移行も意識して、プレビューリリース版から使っていたし、アレコレと試してはいたが、メイン環境ではなくなった。後に、今使っているLeopardがになるまで、私のメイン環境はThinkPad&Windowsとなった。

使うアプリケーションが限られていた所為もある。使うのはもっぱらTeraTerm、秀丸、鶴亀、そしてWebブラウザ。Windowsも正直言って2000以降はとても安定していたし、職種を変えた当初は何かと電子辞書アプリケーションに助けられたと言うのもある。

egbridgeで鍛えてきた変換辞書はWinのIMへ継承して、鍛え続けてきた。もちろんMacではegbridgeとegwordのバージョンアップをかかさず行ってもいた。

一昨年末、あまりにイケてないVistaの出来具合とTigerの安定度、そしてPowerPCからIntel版のMacbookProに買い替えたことで、私はメイン環境をMacintoshへ戻すことを決めた。そこには、egbridge Universalの安定度と、圧倒的な使いやすさと言う要素も含まれていた。

エルゴソフトがこれほどまでにMacの日本語入力環境の整備を支援してこなかったなら、私がMacintosh環境に回帰するのはもう少し遅れたかもしれない。いや、永遠にWinとMacの間でウロウロしていたかも知れない。Turbo linuxではATOKをつかっているもの、やはりMacではegbridgeじゃなければしっくりこないのだ。ことえりはあまりにも馬鹿すぎて、そこにあるだけで作業効率が落ちるような気がするし。

昨年の夏、キーボードが軋み始めたThinkPadを楽隠居させ、メイン環境をMakBook Proに移行した。秋のLeopardへのアップグレードで完全移行を目安に、秀丸のマクロもJedit Xのスクリプトで処理できるよう、AppleScriptで全て書き直した。Winでしか動かないアプリケーションも、最新Parallelsがあればなんの問題もなく使える。WinやParallelsそのもののフリーズも無くなった。

Leopardへのアップグレード後は、全てが予想していた以上に順調に、そして円滑に機能していた。正直言って、こんなに満足してMacintoshを使っていたことが今まであったであろうか、と思える程に全てが心地よかった。昨日の夕方、エルゴソフト カ スタマーサービスから「ERGO PRESS 【 パッケージソフト事 業終了のお知らせ 】 2008-01-28」と言うメールを受け取るまでは。

Out of the blue/青天の霹靂とは正にこのことである。
少なくとも、私にはそう感じた。

なんだか、油断してて足下をすくわれた感じでもある。

このたび当社は2008年1月28日をもって、以下の製品の販売を終了し、パッケー
ジソフト事業を終了することを決定いたしました。

 日本語ワープロ
 ・egword Universal 2
 ・egword Universal 2 solo
 日本語入力システム
 ・egbridge Universal 2

当社は創業以来一貫してMacにおける日本語環境の向上に務めて参りました。
とりわけ日本語ワープロ「egword」ならびに日本語入力システム「egbrigde」
シリーズはMacintoshが登場した1984年から24年の長きにわたり、ユーザの方
々から高い支持を受けて参りました。
このたび、Mac OS Xにおける日本語環境の成熟などから、パッケージソフト事
業を終了する時期であると判断するに至りました。

ユーザの皆様には「egword」ならびに「egbridge」を24年の長きにわたりご支
持いただきましたことを心より御礼申し上げます。

2009年1月末までの1年間はこれまでと同様にユーザサポートを継続して参りま
すので、従来と相変わらぬご支援をお願い申し上げます。お客様がお使いの製
品はユーザサポート終了後も引き続きお使いいただけます。
なるほど、様々な事情があるだろう。ことえりで慣れたユーザがわざわざegbridgeをインストールすることもないだろう。ATOKのように、他に大きな収益基盤があってのIM開発でもないだろうから…。しかし、それでも「残念」と言う言葉だけでは言い表せられない、何かシコリのようなものが心の中に残る。

私にとってegbridgeのインストールされていないMacintoshを使うことは、キャンバーの狂ったクルマでワインディング・ロードを走るようなものだ。なんだか心もとない、なんだか不安定な、ステアリングの感覚に、なんだか納得できないものが残るような、あの感覚。

縦書きで、原稿用紙に合わせて打ち込めるegword Universalがなくなることもとても残念だ(別に「たまづさ」でもいいじゃないかと言われたら、それまでだが…)。

後1年サポートはあるとは言っても、バージョンアップでPumaに対応するわけでもなく、なんとも心もとない後味が残る。残念で仕方がない。しかし、モンクは言うまい。キャッシュカウと呼べるような事業ではないにもかかわらず、24年もの長きにわたって製品を提供し続けてきてくれたエルゴソフトには、感謝の気持ちでいっぱいだ。ナニゴトにも始まりがあって、終わりがあると言うもの。


今回のエルゴソフトの撤退は、私にとってジョブズ氏のApple復帰の時並に衝撃的なニュースだった…。

この後dockからegword Universalのアイコンを外すことになるのだと思うと、なんだかとってもやり切れない気持ちでいっぱいになる。

|by Nagarazoku : 12:21コメント (0)トラックバック (0)

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