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2007年04月02日
【
美唄の焼き鳥とKRUG 】
嫁方の親父さんが、美唄の焼き鳥をこよなく愛しているということは結婚前から何度も訊かされていた。特に興味をひかれたのは、何本かに1本「玉ひも」が入っていると言うあたりで、食いたいとは思っていたものの、ずっとクチにする機会を逃していた。
そういえば子供の頃はよく「玉ひも」を甘辛く煮たヤツを食った。市場のカシワ屋などに行けば、冷蔵陳列には鶏の「玉ひも」が山盛りでバットに入って並んでいたものだ。生のものが並べられた陳列の横では、すでに煮物になったものが並んでたりもした。
最近ではそういう市場も見ないし、スーパーの貴重な対面販売のフェイスで単価の安い鶏の肝などを売っているハズもなく、なによりも鶏の臓物自体の人気がいまひとつのような気がしなくもない。レバーはまだ良いのだが、「玉ひも」となるとどうも見た目がよろしくない所為か、かなり敬遠され気味な様子だ。
しかし「玉ひも」のあの食感は、一度食うと忘れられない。もちろん下ごしらえと掃除がキチンとできていればの話だが、甘辛く煮ても能し、塩焼きにしても能しの万能選手だと、個人的には思っていたりするのだが。何より「玉ひも」はバリエーションのある食感が楽しい。一見黄身に見える「玉」の部分(未成熟の卵の部分)のもつ適度な歯ごたえは、普通の黄身のそれを予期してかぶりついた者には嬉しい誤算を与えてくれるし、そして「ひも」の部分(卵管)の独特の弾力は、四足の動物の臓物系とはこれまた違った繊細さで魅了してくれる。
こんな風に、玉ひもの魅力を書き出せばきりがない。きりがないのなら、買ってきて煮て食えばよいのかも知れないが、残念ながら我が家の近所では「玉ひも」を売ってるのを見かけたことがない。そんなわけで、「玉ひも」とはしばらくゴブサタの関係にあった。
先月の末に、嫁の親父さんとお母さんが上京してきて、その折、親父さんが美唄の焼き鳥を持ってきてくれた。噂では「焼いたヤツを無造作にパックに放り込んで」と言う昔ながらの焼き鳥屋の「お持ち帰り」バージョンのはずだったのだが、親父さんが持ってきてくれたヤツはキッチリと現代風に真空パックに入っていた。その上、「美唄の名物焼き鳥」と言う風なことを書かれた赤いラベルなんぞが貼ってあって、村興し的な活動の一環として貢献している風にも見えた。
訊けば、今ではこういう風に真空パックになったやつが、美唄まで足を伸ばさずとも札幌で買えるのだと言う。味気が無いなどと言うなかれ、これはこれで遠隔地に住む私のような者にはありがたい。なぜ「美唄の焼き鳥」なのかと親父さんに直接訊いてみれば、美唄では昔養鶏が盛んで、その流れで焼き鳥が名物なのだと言う。それを聞いてちょと調べてみたら、美唄の焼き鳥は臓物系が多いらしく、「美唄式焼鳥」というそれらしい表現も存在するようだ。
ところで、親父さんとお母さんが滞在している間は、その真空パックの封を切る機会がなかった。で、二人が帰った後、嫁との食卓でそいつを開けた。そしてその日は丁度私の誕生日と言うこともあって、嫁がKRUG(クリュッグ グラン キュヴェ ブリュット)と言う豪勢なプレゼントを持って帰ってきてくれた。シャンペンの王様だそうである。酒の味など判らない市井の雑魚には勿体無い酒だと言ってしまえばそれまでだが…。栓を抜いている間に、「やっぱり飲むならコレででしょ」と言いつつ、嫁は秘蔵のオールド・バカラのシャンペンフルートを出してきた。確かに、せっかく飲むのだから適切なプロモータは必要だろう。
乾杯をして、一口飲んで思わず「美味い!」の言葉が漏れた。
と、食卓に目をやれば件の美唄式焼き鳥が…。タレであれば赤ワイン系だろう。しかし今食卓に登ってるのは運良く塩焼き。手を伸ばして齧ってみて、その後を追うようにKRUGをクチにふくんでみれば、「まぁ、なんと言うことでしょう!」ではないが、これがまた絶妙な組み合わせ。単にキレがあるだけではなく、そして媚びない甘さをほのかに感じさせるKRUGと、少し堅く締まった美唄式の塩が…。
もうこういうのは言葉にするだけ野暮。とりあえず、琴線に触れた方は美唄式焼鳥&KRUGの組み合わせを一度お試しください。

P.S.
さすがにニブい私も、今回の食い合わせで内臓系焼き鳥の「塩」には辛口のシャンパンであるという大雑把な括りをお脳のどこかのシワに刻み込んでおいた。今後この手の組み合わせを体験したときには、そのシワの脇に、更に小皺を刻んでいこうと、真面目にそんな風に思わせる程の組み合わせだったことは事実。
塩の選び方だって無限にあるだろうし、別に内臓系にこだわらずとも広義の焼き鳥となれば鳩や鶉もありだろうし(実は鳥だけじゃなく蛙もありかなと思っている)。
|by Nagarazoku : 10:11|コメント (0)|トラックバック (0)|
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