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2006年12月01日

【 K10D::on second thought, I need some words 】

EOS 5Dのシャッターはまるで羽が舞うように軽やかで、時として撮る者の意思を無視し、撮るための機械としての機能を忠実に全うすべく切り取る作業を続ける。場合によってはそれが功を奏するのだが、はたしてその過程で得た作品が撮影者の意図が充分に含まれているものなのか、それとも全く偶然の産物なのかは、疑問がのこるところだった。

レンズ側で補わなければならない手振れ補正機能など、欲を言い出せば際限がない部分もあったが、上位機種からは適度に簡素化された操作系など道具としては逸品だと言えた。にもかかわらず、手放した理由には上述のような疑問が含まれてもいた。

私は欲深い人間だと思う。

自分が「欲しいな」と思ったものはどうしても手に入れたい。その欲望は、特に無形のものであればあるほど、そして些細なものであればあるほど強くなる。これは絵を描いていた時からまったく変わっていない。油からアクリルへ、アクリルからグアッシュ、そしてエッグ・テンペラへ最後は素描へクロッキーへと、あたかも先祖がえりをするかのような軌跡をたどってみれば、絵の具、ナイフ、絵筆、紙、そして結局は鉛筆と木炭へと、より些細で、余剰なものをそぎ落として自分の感性に素直に応えてくれる道具を追い求めていたということになる。単なる亡者の迷走と取れなくもないが、それでも自分の感性に直結した道具を探すという行為自体が過ちであるという等式は成立たない。

話をもどそう。主題はK10Dだ。

*istDSが手軽に使えるステッドラー社のフォルダ式の素描用ペンシルだとすれば、ヴィーナス社の素描用鉛筆のような感覚にさせるのがK10Dだ。従順にして頑固、繊細にして時に大胆。純粋に個人的な意見だが。

そして切り取るという言葉に掛け合わせてみれば、K10Dのシャッターは、意のままに操れる鋏のようだとも言える。奏でる音もそうだし、切った瞬間の感触なんて、まるで上等の鋏で厚手のサテンの生地を切った時のような錯覚さえ覚える。

EOS 5Dのような羽が舞うようなかろやかさはない。どちらかと言えばトルクフルな内燃機関が低速から搾り出すような、あの独特の重さに似たものを感じる。それは操作する者の微妙な意図に的確に応えると言う意味で、信頼を置けるものであることは言うまでもない。

切りたい瞬間に、切りたいと思っただけで、まるで瞬きをするかのようにシャッターが下りる。いらぬ意識をさせないというのは、正にこういうことを指すのだろう。

ダイナミズムなどと言う言葉は似つかわしくないが、何かそれに通ずるものがあるのは確かだ。コーナーの出口に目をやった瞬間、自然に車体がバンクを始め、アンダーでもなくオーバーでもないステアの状態を保ち、そしてクリッピング・ポイントからアクセルが開いて適度なドリフト感と共にタイヤが車体を前へ押し出していくあの感覚。K10Dのシャッターを切った瞬間は、まるでこういうダイナミズムを感じる。

長くて短い一瞬。そして貴重な瞬間を無駄にしないという約束のようなものだろうか。

操作系はあるべきところ、あって欲しいところに、あるべきものがある。AE-Lのボタン位置には若干の疑問が残るが、これは撮影者の手の大きさによって干渉する場合もあればそうでない場合もあると思うので、一概に問題視はできない。ファインダの中に常にISO感度が出て欲しいなどという無碍な注文もあるが、それは今後への期待だと胸に収めてもいい。

なによりも言えるのは、撮る気にさせる道具だと言うことだろうか。

PENTAXは「もっと撮りたい」と思わせるのが上手なメーカーだなと思う。そして現時点でのその全ての要素と実力が詰まったのがK10Dと言うことになるのだろう。

決して贅沢な素材は使っていないし、奇をてらった仕様でもない。ただ、実用性重視の中である種の機械だけが持つ、洗練された輝きを見た。使う者の意思に応えようと、その者の一部にならんかなとする個性とでも表現すべきか。

画質はいまさら語るようなものでもなかろう。

でもどうだ、このダイナミックレンジは。そして驚かされるのは、JPEGの圧縮率。この画質、この画素数/サイズでここまでやるのかという徹底ぶり。

もうこれは撮る気にならない方がどうかしていると言うものだ。


|by Nagarazoku : 11:06コメント (6)トラックバック (0)

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コチラも、おめでとうございます♪

ご感想なるほどーです。

僕は、さてどこから見て行こうかって感じです(笑)

投稿者 ひでじ : 2006年12月01日 11:21

>ひでじ様:
コメント、アリガトウゴザイマス。

かなり良い感じに仕上がってますね。ファインダの視野率を上げる拡大アイカップも買ってみたんですが、組み合わせるとかなり良いですよ。

ところで*istDSの方は完全オーバーホールでドックインしました。さすがにシャッターユニットはメロメロになってたみたいで、不具合を感じていなかったにもかかわらず大きな文字で「シャッター不具合」と書かれてしまいました…。

もどってきてからはM42マウント・レンズ専用機として末永く使ってやるつもりでいます。苦楽を共にしてきた相棒ですからねぇ~。

投稿者 Nagarazoku : 2006年12月02日 01:24

僕も*istDSは残します。なんか可愛くなってしまって(笑)

下手すると今まで以上にハードに使われたりして。PENTAXのCCD固定式の機種ってのは、貴重になるかもしれないし。

シャッターユニットは、僕はそれほど撮影数はいってないので大丈夫な気がしますけど、確かに音は変わってきたかなあという気はしますね。メカ音が柔らかくなった感じで。コチラを読んだら点検にだそうか・・・という気持ちになってきました。

投稿者 ひでじ : 2006年12月02日 12:11

説明は不要というのも,何か書きたいと思うのも,書きたくなったらとことん書かされてしまうのもよくわかります.持つ人がもったら,そういう機械なのですね.これは.
”従順にして頑固、繊細にして時に大胆”ですか.初心者には,まずは”頑固”というのが引っかかりますね.なんだかソッポむかれそうで.それを乗り越えても,繊細と大胆が待っていると.
このカメラのシャッター切るときは,オートバイのコーナーリングをイメージして切ってみます.長らく乗ってないので,あまりの性能のよさにハイサイドしそうですが...

投稿者 yanz : 2006年12月04日 19:38

>yanz様:
コメント、アリガトウゴザイマス。

K10Dは、確かに突っ込んでいけばガンコな部分もあるのですが、*istD系よりは格段に使いやすくなっているので心配はないですよ。最初は赤色の飽和に気をつけさえすれば転倒はないかと。

以前は鮮やかモード以上を望むとけっこう違和感があったのですが、K10Dではかなりvividに仕上げてもそういうことはなくなったのも嬉しい次第です。特に「青」は良い色が出るようになったと思います。SONY製の汎用CCDでも料理次第(処理系次第)でここまで持ってこれるのかと思うと、もうこれは感動の一言です。

撮影に関しては、いろんなモードがありますけど、グリーンモードを卒業した後はハイパーマニュアルモードで、「ピントが合った後グリーンボタンを押して…」と言う流れで進めば(使用説明書のP.158です)数値的な感覚が早く身につくと思います(一種のデータ・サンプリングみたいなもんですね)。サンプリングが済んで身体が勝手に反応するようになれば、後は状況に応じた撮り方を選択するだけで済みますしね。

単車ならハイサイドで飛んでしまうと、マシンもカラダも痛い目にあいますけど、ま、カメラならそういうコトも無いですし、少々無茶をしても楽しめますからガンガンいっちゃいましょう!(一期一「絵」が無駄になってしまうというリスクはありますが…)

投稿者 Nagarazoku : 2006年12月04日 20:59

>ひでじ様:
そうなんです、*istDSが微妙にかわいいんですよ。小さくて軽くて、液晶だってそんなに大きくないのに…。無駄を省ききって、必要なものだけ凝縮されてるとでも言えばいいのでしょうか。

FORUMなら40分くらいで点検してくれるので、CCD清掃のついでに診てもらうのがいいかも知れませんね。そうそうCCD清掃と言えば例の清掃キットを購入してみたのですが、さすがに怖くてCCDには触れません…。やはりこういうのはPROに頼んでしまうほうが気楽なのかも知れないと、改めて思った次第です。

投稿者 Nagarazoku : 2006年12月04日 21:07




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