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2006年10月12日

【 オンライン上の遺産や財産に関する雑感 】

先日も某ブログへのコメントでちょっと書いたのだけども、「今後家族が死んだ場合、箱の中、そして向こう側の世界の遺産/財産に関する問題が多くなっていくだろうな」と、漠然と思って久しい。これは自分の生活の大半が箱の中 --いわゆるPCやサーバの中-- や、ネットワークの向こう側にあるから、余計そんな風に感じるのだろう。

たとえば私が管理しているドメイン名は表の稼業の方でne.jpが1つとco.jpが1つ、そしてその顧客の預かり分として各汎用ドメインが20前後ある。裏稼業の物も含めると50や60はある。これらは全部当然各レジストラを通じてオンライン上で管理されていて、私以外にアクセスするためのパスワードは知らない。サーバもそうだ。レンタル・サーバ屋で借りているサーバ・スペースはもとより、事務所のサーバ・ラックに入ってるサーバ類へのターミナル・ログインは私しかできない。これらだって数にすれば30や40はある。

私のような仕事をしていないヒトだって、こういう現状に全く関係がないとは言えない。
たとえばISPとの契約。家を買った、光を引いた、インターネットのプロバイダを契約した。もしもこれら全部をお父さんが取り仕切ってやっていたとする。ある朝、元気に家を後にしたお父さんが通勤途上の列車事故に巻き込まれて帰らぬヒトとなったとする。お父さんはISPとの契約の後、推奨されるとおり初期に割り振られていたパスワードを任意のものに変更していたとすると、お父さんが亡くなった後、家族は直ぐには契約解除やその他の手配ができない。書面を郵送し、然るべき手順を踏めば解約もしくは契約者変更なりはできるだろうが、オンラインで「プチっ」っと言うワケにはいかない。

家族の写真全てがオンライン上のアルバム・サービスに保管されていたとすれば尚更厄介になる。

まず困るのは支払いの面。おそらくクレジットカードで支払いをしていたのだろうけど、お父さんの死後、クレジットカードは間もなく失効するだろう。月掛けでお父さんが支払いをしていたのか、それとも何年かの長期契約で支払いを済ませていたのかはわからないけど、適切な処理を踏み料金の支払いを続けないと全ての画像ファイルを削除されてしまうかも知れない。家族の写真というのはある大切な財産だったりるするから、けっこうシビアな問題になる。そのアルバムサービスがWebでの公開を前提としていたサービスでも、プライベート・モードで保管している画像へのアクセスや、支払い方法の変更/契約者の変更は初期登録者本人のIDとパスワードでログインする必要があるだろう。そのIDとパスワードを本人以外が知らなければ…。

Google様のメールサービスや、つい先だってアップデートされたドキュメント&スプレッドシートのサービスだってそうだ。オーナが亡くなった後、特に不慮の事故などで急に亡くなった場合の対応の事などオーナ/ユーザ側で考えているはずもなく、サービス・プロバイダー側でエスクロー条項を設け、然るべき場合に然るべき第三者に全権委任するなどと言うような話も耳にしたことが無い。こういう場合、ネットワークの向こう側にある個人の財産はどうなっていくのだろうか。委任状を用意すればという言葉も見え隠れするが、委任状など、普通生きている間はなんらかの必要性が無い限り用意などしない。

普通はIDとパスワードは他人には教えない。

私の場合、仕事に関係するものは一応自分だけにわかるように手帳に記してはいるが、それとて誰が見てもすぐに、どれが何のIDとパスワードであるかはわからないように配慮してある(そりゃ、当然でしょう)。

こういう問題に日が当たり始めたこと自体、ようやくネットワーク社会が黎明期から揺籃期に移りはじめた証拠のようなものだろう。

あまりにも身近な問題なのに、あまりにも向こう側にありすぎる個人(故人)の財産。サービス・プロバイダーからすれば個人(故人)と結んだプライバシーの問題であるため守秘義務が生じ、残された遺族にとっては財産/遺産の問題であり、手元に何も残っていない場合、由々しき事態でもある。cnet.comの記事にあった例など[ 参照:知らされなかったパスワード--ユーザーの死が封印するアカウントと遺族のアクセス@japan.cnet.com ]、そのもっとも最たる例だろう。

自分自身の事も振り返って「少しばかり整理を始めなきゃいけないな…」っと思った次第だ。とは言え、もしも整理が済んでいても、私の死を伝えるべき人たちのアドレスが全て箱の中だと、もうすでにどうにもならないのだが。まぁ、そこはソレ、バックアップと同じで「異なる数の媒体に」と言う方法論を取るしかないのだろう。そして「然るべき第三者に託す…」か? あぁ、なんともヤヤコシイ。

正に、An Entangled Web We Weave... だな。

|by Nagarazoku : 09:53コメント (0)トラックバック (0)

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