≪ MC Flektogonの35mm/F2.4 |メインページへ戻る| キムチ専用… ≫

2006年10月10日

【 某日、新宿西口地下広場にて 】

街を行く、人の波に揉まれながら駅の改札を出る。

新宿はいつものように、活気と熱気と失意と絶望と期待が入り混じった独特の混沌に包まれている。六本木の喧騒とも違う、品川駅の雑踏とも違う。渋谷の猥雑さや恵比寿の軽薄とも違う。原宿の若さもなければ、池袋ほどの辛辣さもない。

行きかう人の波、戸惑う意識、そして混沌。
それでも何故か西口地下広場は面白いし、好きだ。

この場所で過去になにがあったのかを振り返ってみれば、面白がっていてはいけないのかも知れな。だが、行きかう人の表情を眺め、入り乱れた歩調をダンスのステップになぞらえて観ていれば、一人ひとりが都会というミュージカルの舞台で精一杯与えられた役柄を演じているダンサーや役者のようにも思えてくる。

そんなわけで、JR新宿駅を利用する時は西口広場の改札から出ることが多い。なによりも感じるのが低い天井と横へ横へと広がっている空間。思い思いに継ぎ足されたのが明白な、建物と建物の間にあるわずかな段差の数々。連続した同じ空間のはずなのに、管轄の違いなのか、照明の色もまちまち。当然に壁や柱の素材も違う。


最近目立つのは古い柱の周りに現代風のガラスの装飾を纏い始めた小田急百貨店の柱。改札を出て真正面にあるからすぐにわかる。付け焼刃の厚化粧的な装飾は好きじゃないが、これはなかなか良い。それでもあまり度が過ぎると、どう感じるかはわからないが。

そんな継ぎ接ぎだらけの三次元のパッチワークの空間を、みんなてんでバラバラに、思い思いの方向に向かって歩いてゆく。最近増えたのはランダムに持ち物検査を行う警官の姿。重そうなリュックを背負っている者に声をかけ、抜き打ちで持ち物チェックをする。かく言う私も一度ばかり検査をされたことがある。

ロータリーの開口部から見上げた副都心のビルは、時として幻想的な表情を見せる。それは快晴の時などではなく、決まって霧や豪雨のような悪天候の時が多いのだが。この日も実は外は生憎の雨。高層ビルの向こう側を凄い勢いで雨雲が流れていた。こんな景色を眺めたりしてるのは私だけかと思っていたら、隣でサラリーマン風のオヤジさんがケータイのカメラで流れる雲を撮影していた。ちょっと話をしたが、やはり風にすごい勢いで流されていく雨雲にちょっと感動したとのこと。

しかしまぁ、なんとも不思議な空間だここは。いつも通る度に訳もなくカメラを出して写してしまう。カメラこそ持ち歩いていなくとも、同じような気持ちで光の記憶を心に写しつつ、ここを通り過ぎている人もきっと多いのではないかと、ふとそんな風に感じた。

|by Nagarazoku : 00:06コメント (5)トラックバック (0)

トラックバック・スパム対策のため、このBLOGへのリンクを持たないページから送られたトラックバックは自動的に拒否されます。悪しからずご了承ください。
また、このエントリと全然関係の無い内容のページからのトラックバックは、アタシ的な判断で勝手に削除します。これも又、ご了承くださいマセ。

■このエントリーのトラックバックURL ≫ http://www.nagarazoku.com/mvt/mt-tb.cgi/856



▼コメント(スパム対策のため、半角英文のみのコメントは受け付けていません。悪しからずご了承ください。)

東京に住んだことのない人間にとっては,新宿,六本木,渋谷,原宿などの微妙でいて大きな違いは,なんとなくしか感じられませんが,いろいろな人が通過点として集まる(というか,通り過ぎる)場所には,何か特別な空気が流れていますね.文字通り,ザワザワしたようなというかですね.
ケータイで写真を撮っていた男性のように,忙しく動いていても,意外に風景の移り変わりというのは,目を奪われます.枕草子など古典からも明らかなように,日本人は風景や自然に対する感受性は高いのでしょうけど,街角でそういう人を見ると,ホッとしますね.

投稿者 yanz : 2006年10月10日 10:50

>yanz様:
コメント、アリガトウゴザイマス。

東京に住んでみて面白いなぁと思ったのは、山手線上に点在する外側からの各ターミナルで空気が異なっていることです。大阪の環状線なんかでも似たような部分はありますが、そこはソレ、やはり規模が違います。山手線の各ターミナルがかもし出している空気や雰囲気と言うのは、ホントそれぞれが独特で、「あちこちからヒトが集まっているんだなぁ」と感じさせられるものがあります。

おっしゃるように、ニホンジンの自然に対する細やかな感性というのは一種独特ですね。適度な誇張と、それを裏付ける詳細なディテールを求めるとでも言いましょうか…。

そういえば、特に新宿副都心の高層ビルは適度に「枯れ」ていて、霧がかかった日など桂林の山々を思わせるような表情を見せる時があります。

たぶんカメラをかまえてるこのオヤジさんも何かそうものを感じたのでしょうね。

投稿者 Nagarazoku : 2006年10月10日 12:31

>東京に住んでみて面白いなぁと思ったのは、山手線上に点在する外側からの各ターミナルで空気が異なっていることです。
そうそう.これを読んで思い出しました.遥か昔,暇な学生の時代に,はじめて泊まりで東京に遊びに行った時,一緒に行った友人が,いみじくも,「駅ごとに,名古屋」と言っていて,大きくうなずいたものでした.
でも,そうかあ.それぞれの駅が,その路線がカバーしている外の領域を代表する起点なんですね.「駅ごとに県庁所在地がある」と言ったほう的を得てますね.

投稿者 yanz : 2006年10月10日 19:16

>yanz様:

「駅ごとに県庁所在地」とは、まさにその通りです。新宿なら主にアッチ方面+ごった煮、池袋ならソッチ方面、渋谷なら主にアノ方面、上野はソノ方面、東京駅はコノ方面とか、ま、そんな印象を受けてしまうのですよ。

投稿者 Nagarazoku : 2006年10月11日 18:59

はじめまして。
「明日も晴れー大木晴子のページ」を書いています。
下記のページでこの【 某日、新宿西口地下広場にて 】を
リンクさせていただきました。
ありがとうございました。
http://www.seiko-jiro.net/modules/news/article.php?storyid=520

投稿者 大木晴子 : 2007年11月25日 19:14




保存しますか?