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2006年08月29日

【 黄金屋でモツ鍋 】

土曜日のこと、小石川植物園からの帰り道バスに乗った。

その筋の間では印刷製本銀座とも呼ばれる小石川の界隈はご存知のようにアクセスが良くない。いわゆる陸の孤島状態。どの最寄り駅からも10分以上は歩かなければならないし、バス停も似たようなもんだ。江戸時代、療養所があった頃にはたいそうな山の中だったと、勝手な妄想も膨らんだりする。

ま、兎に角、小石川植物園からの帰り道バスに乗った。

別に企ててそうしたワケでもなく、帰りがけに門のところの受付で「最寄のJRの駅はドコになります?」と訊けば、窓口の向こうにいたオバサンが「水道橋かなぁ。でもかなり歩くよぉ」っと返してきた。行きがけに一応地図で位置確認はしてたので、かなり歩くのは織り込みずみ。『ブラブラと歩けば良いでしょ』っと思ってたので、道順だけ訊く。

で、ブラブラと。

この界隈は数年前に車で通たっきり。通ったと言っても、当時はまだ東京に出てきて2年くらいしか経っておらずしかも仕事の関係で乗せてもらっていた車なので、位置関係やどんな地勢なのかは良くわからなかった。とりあえず判ったのは大凸さんの関係で、このあたりが印刷銀座であると言うことだけだった。

改めて歩いてみても、やっぱり小さな紙屋、製本屋、印刷屋が多い。『日本型産業構造の縮図とでも言うか、その比較的優良な例と言うか、まぁそういうのを実感するには良い場所かも知れない』なぁ~んてコトなんかを漠然と思いつつ、大通りまで出た。

言われたとおりに大通りをブラブラと水道橋に向かって歩いていると前からバスがきて側のバス停に止まった。行き先表示は「池袋東口」とある。おぉ、池袋か、バスか、その手があったか、っと思わず飛び乗ってしまった。行きがけも巣鴨あたりからブラブラと歩いてやってきたので、いいかげんに歩くのにも飽きてたと言うのが本当のトコロ。

丁度、界隈の土曜出勤の人たちの帰宅時間(まぁ、土曜日は3時までとかのトコロも多い業界だし)と重なったのか、けっこうパラパラと人が乗り込んでくる。一つバス停を過ぎたところで、空き席は無くなった。アタシの後ろには少しばかり年上の女性の二人組みが腰を下ろした。

話し声と言うのは別段聞き耳を立ててなくても前の席には伝わってくる。相手は横の人と会話してるつもりでも、前を向いて喋っているのだから、アタリマエと言えば当たり前の現象。やはりこの二人も印刷製本関係の仕事らしく、そういうワードが聞こえてくる。おそらく校正さんか…。

と、大塚を過ぎたあたりで最中の話に話題が変わった。なんでもこのアタリに美味い最中屋があるとかないとか。コチラも食いしん坊の端くれ。食い物の話になると、聞き耳を立てないワケにはいかない、っと言うことで耳はダンボに。最中の話は途中で立ち消えし、どういうワケか今度は百貨店かドコかの九州物産展の話に。「なぁ~んだ」なんて落胆してると、「カラシレンコンが…」とか言ってるし。

おぉ、カラシ蓮根か!!

その昔、食中毒で大騒ぎになったカラシ蓮根。当時はまだ食ったことがなく、ニュースを見ながら「果たしてどんな食いもんなんだろうか」なんて悶々と妄想だけが膨らんでいたのを覚えている。オトナと呼ばれる年齢になってからもついぞ食うこともなく、初めて食ったのはつい最近、先月だったか、先々月だったか、そのあたり。土産でもらったとかそう言うのではなく、黄金屋とか言うモツ鍋で食った。

この黄金屋と言うモツ鍋屋がけっこうイケると言うコトで、嫁からは何度も話に聞いていたのだが、そこはソレ、アタシの持ち前の記憶の悪さと言うか鳥アタマのおかげで、何度ハナシを聞いてもすぐに店名を忘れていた。で、会話の度に「それって、ドコだ?」と訊きなおしていいかげんあきれられてもいた。だがまぁ、一度なりと行ってしまえば自分の経験値になって、美味い不味いを判断するお脳の中のシナプスがキッチリと電気の巡りの良くなる経路を作ってくれるので、店の名前も覚える。今回もバスの後ろの席の女性達の会話を聞いていて「カラシ蓮根」>「食った」>「美味かった」>「黄金屋」と言う具合に電気がめぐって、最終的にその電気は「また食いたい」と言う電極に到達した様子。海馬あたりも「おぉ、食いに行こうぜ。晩飯作るの面倒だし」とか言い出したもんで、もうこうなるとアタシはどうしようもない。バスの中なのに、PHSを出して嫁に電話。今夜、黄金屋を予約してもらう。なんとも辛抱のないオトコと言うか、我ながら自分の食い気に呆れるしかない次第。

そんなワケで土曜の夜はモツ鍋を食った。

「土曜日だしそんなに混んではないだろうけど、念のため予約…」的に嫁に予約を頼んだのだけど、夕方6時の開店早々に行ったのにもかかわらず、あっと言う間に満席に近い状態に。「う~ん、この暑いのに鍋なんか食うなよオマイら!」とか思ったものの、そう言うジブンも食いに来てるクチなので、偉そうなコトは言えない。しかもこの店のモツ鍋ってばアッサリしてるのに奥深いコクがあって、それでいて繊細な、なんとも魅了される味。けっこうガツガツと食っても全然しつこく感じないのも、嬉しかったりする。モチロン、忘れずにカラシ蓮根も頼んで「鼻ツン!」を堪能した。

っと、これを書きながらでも既にクチの中にツバが溢れてきてるのでこれ以上は書けません。読んでて食いたくなった人は現地に赴いて食ってください。
黄金屋のモツ鍋。これは味噌味の方。

|by Nagarazoku : 00:01コメント (0)トラックバック (0)

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