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2006年06月05日
【
Queue de bœuf au vin rouge 】

この前の土曜日、お友達が遊びに来るというのでQueue de bœuf au vin rougeを作ってみた。queue de bœufは仏語で牛テール、英語だといわゆるox-tail。au vin rougeは文字通り「赤ワインと共に(with red wine)」なんだが、料理名としての日本語だと「牛尾の赤ワイン煮込み」になる。
普通にテール・シチューやテール・スープは何度か作ったことがあったが、さすがに赤ワイン煮込みは作ったことがなかった。ずっと作りたいなとは思っていたのだケレド、ワインは2リットル以上必要だし、フォンドヴォーやらなんやらが必要なので、ちょっと若い頃はコスト的に手が出せなかったのだ。今回はお友達の誕生会(2人まとめて)と言うこともあって、趣味と実益と人体実験も兼ねて「手を出してみてもいいかな…」と、重い腰を上げてみた次第。
とは言え手を抜くところは抜いてあるし。本来であれば下茹でして掃除をしたテールは網油に包んでやるべきなのだけど、さすがに網油までは用意ができず(勝手知ったる大阪ならヒョイヒョイと平野とか東大阪の方まで出向いて買ってきたりするのだケド、東京では肉屋経由で取り寄せてもらわなければならないので、素人には面倒…)そのままrissoler(リソレ)しちゃってるし、オーブンで鍋ごと煮込むところは、そのまま弱火で煮ちゃってる。我が家のオーブンは典型的な日本サイズなので、さすがに寸胴鍋までは入らないしね。
それにしても料理をしてていつも楽しいなぁと思うのは、材料集めから消費しきるまで、そのライフサイクル全体を通して傍に立って見ていられるコト。もちろん食うと目的も大事だなんだケレド、そこに至るまでの過程の、材料との対話がとても楽しかったりする。自分で食う場合も、ヒトが食う場合も、食うコト自体は楽しいものだし時間や話題を共有できるのだけど、素材との対話ってば、もうコレは作ってるヒトだけが経験できることだし。
料理ってば「絵」や「彫刻」と似てるとか言われるけど、それって決して正しいとは思えない。原材料と言う「在り物」をどう料るかって言うのは、案外他の創作物とは似て非なるものだと常々思ってる。絵を書いたりデザインしたり彫刻を作るってコトはPaul Grahamが「
ハッカーと画家」で言うように、とてもプログラミングに似た作業だと思う。閃きを形に変えてゆく作業とでも言おうか。
もちろん料理にも何かにトリガされた閃きみたいなもんは必要なんだケド、そこから先は組み立ててゆく作業と言うよりも、素材との対話的な世界。今日の玉ねぎと昨日の玉ねぎは、同じように見えても別の玉ねぎでだし、そいつから思っている結果を導き出すって言うのは、やはり対話でしかないと思う。しかしスクリプトなんかを書いてて「number_format()が昨日と今日で振る舞いが違うから、良く注意して…」なんて言われたら、それはもうやってらんない世界だし。絵を描く時だって「今日のアルシュの粗目が昨日のソレと違う(確かに気温や湿度で条件は変わるのだけど)振る舞いをするから、絵の具の掛け合わせを良く注意して」なんて言われたら、絵筆を捨てて街へ出ようってなコトにもなりかねないし。
とまぁ、いろんな薀蓄をアタマの中で思いつつ、手を抜けるところはしっかり抜いて作ってみました。ながら族風Queue de bœuf au vin rougeのレシピは以下の通り。
Queue de bœuf au vin rougeの材料:- 牛尾1本(大)。捌いてあるもでのも可
- ベーコン(ブロック)300g
- エシャロット5個
- 玉ねぎ小6個
- ニンジン小3本
- セロリ大1本
- ニンニク大1個
- バター30g
- 赤ワイン750ml×3本
- フォンドヴォー500ml
- デミグラスソース500ml
- 生クリーム1/3カップ
やっつけ方(参照書籍:フランス料理〈肉料理〉 完全イラスト プロ調理の基本):- 牛尾はスジ引き&掃除をして適当な大きさ(5cm厚程度)に切り分ける。寸胴に水を張って捌いた牛尾をいれ、水からblanchir(ブランシール:下茹で)する
- 沸騰すると灰汁が浮いてくるので、鍋ごと流し台に持ってゆき、水を注ぎ込んで浮いてきた灰汁を流しだす。続いて肉を取り出しながら、汚れを掃除する。肉の水気を十分に拭き取る
- 本来であれば、水気を十分に拭き取った牛尾をここで網油に包むのだけど、今回はパス
- 粗切りした玉ねぎ、薄切りしたエシャロットを寸胴に入れ、少量のバターとオリーブオイルで炒める
- フライパンにオリーブオイルを入れ、3cm角程度に切ったベーコンを入れる。ベーコンの油を溶かし出すように弱火で炒めた後、ベーコンを取り出す
- 上のフライパンに牛尾を入れてrissoler(リソレ:材料の表面を強火で焼き、壁を作る)
- 玉ねぎとエシャロットを炒めた鍋にrissolerした牛尾を放り込み、続いて先に取り出しておいたベーコンを入れる。また、粗切りしたニンジン、セロリ、ニンニク、月桂樹を放り込む
- 鍋を十分に加熱して、ワインを注ぎ込む。ここからが1時間が勝負。表面に浮いてくる油と灰汁を丁寧にすくいつつ煮詰め、その都度ワインを足してゆく。火は強火
- 最後にフォンドヴォーを注ぐ。この時点で初めて塩と胡椒。沸騰させてから弱火に落として4時間ばかり煮詰める
- 煮詰めた後、牛尾とベーコンを取り出しスープを漉す。牛尾とベーコンはホイルでくるんでオーブンで保温する
- 漉したスープは更に表面に浮いてくる油と灰汁を丁寧にすくいつつ、煮詰める
- 煮詰まったスープに少量のバターを加えて風味を整える。続いてデミグラスソースを加えてソースに仕立てるげる。味を見ながら塩と胡椒とナツメグ、物足りないようであればコンソメを追加。最後にクリームを入れて味の角を取り仕上げ。
- 牛尾とベーコンをオーブンから取り出し、ソースと共に皿に盛り付ける
付け合せのマッシュポテト:- メークイン中サイズ8個
- 卵黄1個分
- バター(無塩)10g
- 生クリーム大さじ3
やっつけ方:- じゃがいもを茹でる。余熱で火が通りきるので「あ、少し硬かったかな…」ぐらいの加減で引き上げること
- 熱いまま皮を剥き、ボールへ放り込む
- 軽くつぶしたところへ刻んだバターをいれ、よく混ぜるように潰す
- 粗熱が取れたところで生クリームと卵黄をいれ、塩と胡椒をふって潰しながら混ぜ合わせる
- 冷蔵庫で〆る
付け合せのニンジンのグラッセ:ニンジンのグラッセは個人的に好物なので付け合せに用意しました。親父がステーキ好きだったので、たまに親父が家に帰ってきた時はいつも養母がステーキを用意してたんです。で、その時の付け合せの1つがこのニンジンのグラッセ。たまにしか帰ってこない親父に対しても、手間を惜しまずに料理をしてた後姿を見て、子供ながらに良くできた人だなと思ってましたよ。
- 西洋ニンジン大1本
- バター(無塩)30g
- 三温糖大さじ2
- 塩少々
やっつけ方:- ニンジンはchâteau(シャトー)に切る。面取りも惜しまずにしっかりと。細かい作業が苦手なヒトはピーラーで面取りすると良いかも知れません
- テフロンの小型のフライパンに上のニンジンと水をヒタヒタに入れて煮る。途中で三温糖を入れる
- ニンジン芯がなくなるまで、中火で湯が煮詰まるまで煮る
- 少し湯が残っているところへバターを入れてグラッセする。無塩バターを使っているので塩を好みで振る。これで甘みが立ちます
- 水気を完全に煮詰めて出来上がり
- この後、フライパンに残ったバターで青物を炒めれば皿の彩りも良くなっていいです
そうそう、そう言えばこの日の玉ねぎは、こんな笑顔を見せてくれましたヨ。って言っても、アタシが勝手にそう思ってるダケなんでしょうケド。

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