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2006年03月11日
【
八栄亭の「ぼんちり」 】
感想だけ述べれば、八栄亭の「ぼんちり」食った。
ムチャ美味かった。
コトバでは言い表せないので、以上終わり。
と、まぁコレではエントリにもナンにもはならないので、キチンと書くコトに。
そもそもナンで八栄亭にたどり着いたかと言えば、それは単なる偶然。
いつも大阪で飲む時は堂山町界隈でウダウダして、そのまま非ハッテンバ系のノンケでもOKなホモ・バーに流れて、いつキープしたのかわからない味の変ってしまったチンザノのドライのボトルを飲み干して、代わりに又しても放置プレイに持ち込まれるであろう新しいボトルを入れて、友人の終電頃には散会して、アタシは徒歩で実家に帰る、と言うフローが出来てしまっていたのだが、5年もそんなコトを繰り返しているとそう言うパターンにも飽きがきていた。
先のエントリに書いた写真展の後、何処で呑むかと言うハナシになり、性懲りも無く梅田と言うので大阪のキタまで舞い戻った。地下鉄御堂筋線の梅田で右に出るか左に出るかと悪友に訊けば「とりあえず東通商店街」と、これまた性懲りも無いルートを指定。とは言いつつアタシとて他に思い当たる店もなく、改札を抜け阪神百貨店の横を人ごみに流されながら曽根崎警察の横を通り、引き寄せられるように泉の広場方面へと。
しかし大阪の地下街は良い。何が良いのかわからないが、アタシにとっては漠然と良い。漂っていて安心できると言うか、人の速度が自分にあっていると言うか。人ごみは嫌いだが、大阪の地下街は別だと思える。名作「梅田地下オデッセイ」みたいな状況に置かれても、全然焦らないで居られるというか、本音を言えばああいう状況は願ったりかなったりだと言おうか。まぁ、んなコトはどうでもいいか。
で、成城石井の前を抜け、ハーゲンダッツの前を通り過ぎようとした時、ふとキーワードがアタマの中を過ぎった。そのワードは「お初天神」。そういや暫くお初天神のあたりに行ってなかった気がするし。ってなコトを悪友に話せば、それは良い考えだと言うことになり、ハーゲンダッツの角を曲がって富国生命ビルのエスカレータで地上へ。
彼曰く、「お初天神の界隈にある鄙びた焼き鳥屋とか呑み屋で一杯とか…」だそうだ。
もう15年程前になるだろうか、お初天神のあたりも商店街のアーケードに近い側は綺麗に整備がされて城壁のように味気のないビルに変ってしまったのだが、それでも、天神さんの中を抜けて、梅新東の交差点から国道423号線沿い、いわゆる新御堂筋側のあたりには、未だにゴチャゴチャっとした昭和の匂いを残す一角が残っている。この界隈の有名なバーと言えば純正洋酒バーの「北サンボア」。昭和21年からこの場所。ちなみにアタシは恐れ多くて未だに一度も足を踏み入れたコトが無い。
東京で言えばさしずめ昔の新宿ゴールデン街のような古くささと言うか、あすこほど区画整理されていないと言うべきだし、荒んでいないし軽くもない。情緒とか風情と言うコトバが似合う。
何処の店にするか全然決めもせず、もちろん当てもなくそんな界隈で呑もうと言うコトになったものの、やはり、何処に入るか決めあぐね、ぐるりと一周。で、もう一度、お初天神の中を抜けて、一番最初にある店の前まで来た時、その提灯に書いてある台詞が気に入った。「元祖焼き鳥」である。社務所の隣の店で元祖焼き鳥。これはもう露天神社の神様のお墨付きのようなモンではないか(んなワケはないのだが)。
と言うコトで油でギトギトになった扉を開けて、中へ。
お店の中はゴッチャゴチャ。でも、そのごった煮感が何かを期待させる。そしてカウンターの向こう側には焼き鳥用の七輪と言うかコンロと言うか、要するに炭火焼きようの「かんてき」が…。中ではチリチリと備長炭がイコってるし。隅方には、お燗を付ける用なのか赤(銅製)鍋か赤の角薬缶っぽいのが炭の中に埋まってるし。
エエではないですか。こりゃぁ、エエですよ。
ビールは何がありますかと訊けば、ハートランドかエビスだと言う。
益々エエではないですか。ハートランドですよ、ハートランド。
焼き鳥はメニューでの注文ではなく、お任せしかないと言うことなので、そのままお任せに。それでも最初に「嫌いなものはありますか?」と訊いてくれるあたりが、なんともエエ感じです。お任せなんだから出されたモノを黙って食えと言う高飛車な雰囲気のある寿司屋なんかとはワケが違います。
出てくる焼き鳥も大振りです。大振りなのに、中まで火が通っていて、それでいてジューシーだし。タレも甘すぎず、しょっぱすぎず。関西にしてこの甘さ加減は絶妙(食い倒れの街に育った食いしん坊なアタシでも、甘さ加減に関しては関東の方が上手だと思える部分も多々あるのですよ)としか言いようがありません。
しっかりとお腹いっぱい食べて、ビールを数本飲んで、それでも二人で7千円程。なんともまぁ、この肉質の鳥で、この焼き加減で、この味で、この場所で、この年季で、この値段とは、アタマの下がる思いであります。後ほど、某所で調べてみれば、予算はおおむね一人3千円程度+飲み物代とあって、正にその通りでございました。
帰りがけに店の女将さんに「お店の名刺ありますか? 趣味で集めてるんですよ」と言えば、「あぁ、あるよあるよ。エエ趣味やねぇ。それやったらエエ紙の方あげるワ」と。「せやけど、この印刷屋さん、いっつも電話番号、間違うてんねんで」と渡された名刺の電話番号は、シッカリとボールペンで修正済み。
それじゃぁと、席を立つ段になって悪友が、「一番最初に出てきたヤツ、あれってなんですか?」と。
そういや、やたらとジューシーでアタシも気になってた。
そしたら、鳥を焼いている娘さん(だと思う)が、「あぁ、アレはぼんちりですわ」と。
「えぇ、あんなデカのが…」と悪友。
なるへそ、確かにあんな立派な「
ぼんちり」ってば食ったコトなかった。もっとショボいのしか食ったコトがなかったから、全然わからなかった。っつうか、四十路を向かえてコレは情けない。もっとイロイロ食わねば…。
しかし、偶然とは言えエエ店を見つけました。たぶん、これから大阪ではこの「
八栄亭」で呑む回数が増えるでしょう。なんてったって創業明治44年だし。こりゃ確かに元祖焼き鳥ですわ。

P.S.
余談ながら、エントリの中で使った「炭がいこっている」と言う表現、あまりメジャーなものではないですが、紀州から関西、瀬戸内の播州にかけて使われていた表現で、炭火の力強い火力、芯部分の火力を意味します。「いこる」とか「いこってる」とか、そう言う言い方をします。ま、遠赤外線的パワーを感じた際に使う表現みたいなもんです。
それから、同様にエントリの中で使った「かんてき」なんですが、これも関西の古いコトバで、七輪を指します。アタシは小さい頃から「かんてき」と言うコトバで育ってきたので、七輪と言うコトバを知ったのは、中学校に上がる少し前でした。一時期、どういうワケだか養母がこの「かんてき」で魚を焼くコトにハマりまして(それまでは電気ロースターの人だったんですが)、ま、確かに遠火の炭火で焼いた魚は美味いんですが、なんせ火を起こすのもメンドクサイし、火の番をするのも手がかかる。だもんで、当の本人は監督役に回って、アタシが炊き付けで火を起こして(煙が目にしみるんですよね)、ウチワであおぎながら魚を焼くハメになっていました。アタシも子供でしたから、大手を振って火遊びできるのは、嬉しかったんですが、それも最初だけ。母が母なら、子も子です。結局、我が家の「かんてき」ブームは数年で終了してしまいまい、その後「かんてき」は倉庫の片隅でホコリを被っていました。
|by Nagarazoku : 00:00|コメント (0)|トラックバック (0)|
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