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2006年03月19日

【 Lightroomと言う選択肢 】

1988年の9月、Adobeのインターナル・クリエイティブ・スタッフはPhotoshopの原型となるアプリケーションのデモを見せられ、その後直ぐにKnoll兄弟とのライセンス契約を行った。1990年の2月にはAdobeからオリジナル版のPhotoshop 1.0が発売されている。

残念ながらもう手元にパッケージもマニュアルも残っていないが、確か付属していたフロッピーディスクは6枚か、8枚。分厚いマニュアル本が何冊か付属していた。8MBの主記憶とRadiusのグラフィックス・ボードを搭載したMacintosh IIfxにPhotoshop 1.0をインストールして使っていた。

動作は、完全なシングル・タスク・モード。モニタ上に画像が現れる様は144bpsのモデムでYahoo!のHPを開く速度よりも更に遅かった。PS IPUでCanonのカラー・コピー機に繋いでいたのだが(と、書けばなんともないようだが、この簡易カラー出力環境だけで当時の価格でその辺の2LDKのマンションくらい買えてしまう値段だった)、A4サイズ程度の画像をちょっといじってプリントをかけたら、ま、6時間くらいは平気でかかった。夜帰る前にプリントをかけ、運がよければ、翌朝出社すれば、カラーコピー機から出力ができていると言う段取り。運が悪ければ、Macintoshの画面には「原因不明のエラーによりアプリケーションxxxxは終了しました」とか「タイプnnのエラーです」とか言うメッセージが出ていて、完全にフリーズしてる。それでも笑って済ますコトができた牧歌的な時代。お気楽なサラリーマンだったし、バブル崩壊後とは言え、研究開発費と言う名目で無駄使いも許された時代だったから、牧歌的に感じたのかも知れないが(個人的にはExcelのバージョン1で遊ぶ方が面白かったのだが…)。

オリジナルのPhotoshop登場から16年、そろそろ、また時代が変るのかもしれない。

AppleがApertureを発表した時は、何か胎動のようなものを感じたが、結局はRAWデータを扱えるソフトが1つ増えたのかなと言う程度のインパクトしかなかった。必須とされるG5プロセッサとワークステーション・クラスのグラフィックス・アクセラレータも、現実的なものではなかったし。

しかしLightroomデモ・ムービーを見た後では、確実に、時代に変化が訪れていることを感じる取ることができる。技術的な側面から見ていると、入力デバイスとしてのデジタル・カメラの進化は、ようやくその揺籃期を終えようとしており、この波に続いてファイルの扱いが変ろうとしているのだ。

Lightroomの起動画面画像編集や画像管理、要するにファイルを扱うと言う部分は未だにオリジナルのPhotoshopやCumulusの延長線上に留まったままだ。ファイル管理を行うPhotoshop AlubumやiTunesやiPhotoを見ても、編集側や出力側との密接な連携が取れていない点などで、明らかに「弱いな」と思わせる部分がある。

prepress(プリプレス)やコラージュ作成の現場で利用が広まり、レタッチャーやデザイナーのニーズを満たしてきたPhotoshopなどの画像編集ソフトウェアも、よく考えてみれば、撮った「デジタル写真」を「現像」し「保存」し「管理」するという一貫したワークフローの全てで求められているニーズを満たせているかといえば、答えはYESではない。アナログの作業や概念を、モニタの中の世界に置き換えただけの環境は、本当にデジタルの世界で求められているものとは、その実、似て非なるものなのだと思う。

そして、この事に対するAdobeの解答がLightroomなのだろう。

まだ実装されていない機能が多く、今後のベータバージョンで様々な機能が追加されるとデモ・ムービーで説明がなされているが、それでもムービーを見るかぎりでは、想像できる限りの、ありとあらゆる機能が用意されている。スライドショーを、PDFやFlashファイルへ出力(もちろんそれを配置するHTMLも含めて)できる点も魅力的だ。ポートフォリオを簡便に単一のデジタル・データ・ファイルで出力できるのは、センシティブな著作物のオリジナル・データを保護する観点からも見逃せないことだ。

その値段より、それを動作させるプラットフォームのスペックの方が(かなりハイスペックを要求するようである)気がかりだったりもするが、製品版の登場が待ち遠しい。製品版ではもちろんWindows版も出ると明言されているから、Windowsユーザも心配無用。

そして、これはFAQの下の方に書かれていたのだが次のリリースのベータ・バージョンでは、ユニバーサル・バイナリでのMacintosh版が提供されるようである。となれば、これに照準を合わせて、次に登場するであろう(と、勝手に想像してるだけなのだが…)ハイスペックのMacBook Proを購入するもの良いかも知れない。

リモート・ボリュームがあたりまえのように使える時代になるまでのもうしばらくの間、管理やWebを介しての公開と閲覧はFlickrのようなWebサービスが補完し、Lightroomのようなソフトウェアがローカル・ボリュームをフルに利用して、デジタル画像のマネージメントをサポートしてゆくのだろう(もちろんLightroomはマウントされたリモート・ボリュームの自動認識機能を備えている。そのボリューム内の画像ファイルをライブラリへ自動取り込みすると言うような「基本的」な機能も、当然に備えていることは、ここで言及するまでもない)。その後は「神のみぞ知る」であるが…。

まぁなんにせよ、Lightroomと言う選択肢ができたことは嬉しいことである。
Adobe Lightroom's develop pane.
P.S.
面白がって1GMHzのG4 PowerBookへインストールしてみたが、思っていたほどのストレスを感じずに使える。Lightroomのデベロップ・ペイン(現像処理画面)の完成度は、ベータ版とは言えPhotoshopのインタフェースと比べると「うふふ…」な水準にある。これからまだブラッシュ・アップされてゆくのだと言うから、最終的な仕上がりがとても楽しみなアプリケーションである。

|by Nagarazoku : 02:02コメント (0)トラックバック (0)

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