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2006年02月19日

【 非同期と言う可能性 】

非同期でもいいんですよ、作業が終わった後、最終的に自動で同期してファイルを保存してくれるリモート・ボリュームであれば。実際、正確に言えばローカル・ボリュームだってリアルタイムに同期しているワケではないのですし。

初めて買ったハードディスク・ドライブは8MBだったか12MBだったか、GBではないですよ100MB単位でもないですよ、たったの1桁のメガバイトか10メガバイト強だったように覚えています。お店の人にも「本当に個人でハードディスク・ドライブを買われるんですか?」と、何度も訊かれました。当時はPCでハードディスク・ドライブを使うこと自体、珍しいコトでした。それから、まだ15年程しか過ぎていないのに、なんともまぁ、時代の移り変わりと言うのは…。

これから数年の間に、あの頃みなが思い描いていた「ディスクを利用したローカル・ボリューを持たないPC」が現実の物となりそうな気配です。と言ってもNetBootやリモート・ブートやシン・クライアントではなく、記憶媒体を備え、アドホックでメッシュ状の自律的なネットワークを実現できる、独立したネットワーク・ノードとしての計算機です。

要するに、アラン・ケイ氏の言うダイナブックや、1987年にAppleが提唱したコンセプトであるKnowledge Navigatorと同じですね。MIT Media Labが発展途上国の子供向けに開発した100ドルPC(1000ドルではないですよ)の登場も、いよいよそういった環境が現実のものとなるコトをあらわしているのでしょう。

4GB程度の作業用RAMディスクと、その上の情報を保存するためのバッテリー(システムを起動するものとは別の電池ですね)、そしてOSをロードしておくための2GBのフラッシュメモリ、そして作業用の1GB程度のメモリが備わっていて、適切に制御できるファームウェアがあれば物理的には今のPCのOSは問題なく使えます。広帯域でネットワーク上のリモート・ボリュームに接続されていれば、後はバックエンドで非同期かつ自律的にそちら側へデータを保存する仕組みが動いてくれれば、いまのPCのようにハードディスク・ドライブを搭載しなくて良くなります。

デスクトップPCではいまひとつ利点が見えてこないかも知れませんが、ラップトップPCの環境で、特にモバイル・ユーザにとっては多大な恩恵をもたらします。ハードディスク・ドライブの分だけ軽くできますし、振動や衝撃に対して今ほど神経質になる必要が無くなります。当然に筐体内部の温度上昇も抑えることができますし、消費電力も少なくてすみ、そして何よりも、薄い筐体を安価に実現することが可能になります。

まだ実用に耐えうるものが登場するまでには多少の時間がかかりますが、それでも数年以内には各社のPCのカタログにはこのコンセプトを踏襲したラップトップがアタリマエのように登場し、やがて幅を利かせ始めることでしょう(と、勝手に推測)。

ファイルの種類に応じてリモート・ボリュームを使い分けると言う面でも利点があります。画像やらオフィスの文書やらMP3ファイルやらゲームやらDVDイメージやらのすべてをジブンのローカル・ボリュームのファイルシステムに保存してるなんて、ばかげていると思いませんか。

しかもディスク・ドライブがクラッシュした時のリスクは全て自分持ちでですよ。

Flickrのサービスを考えてみてください。年間24ドル95セント、2年契約なら47ドル99セントで以下が可能です:
  • 毎月2GBまでアップロードが可能
  • 無限のストレージ容量
  • 転送帯域無制限
  • photosetと言う仮想アルバムを無限に作成可能
  • 高解像度画像の永久アーカイブ(現在、1ファイルの容量は10MBに制限されています)
  • 広告掲載無しの画像共有(もちろん共有せずに、プライベート領域に置くことも可能です)

これは見方を変えて考えれば、データの可用性を考慮したアーカイブ・サービスやその他様々なプロフェッショナル・サービスとともに、毎月2GBのリモート・ボリューム(画像ファイル用)を、缶コーヒー2本分の値段で買い足してゆくことができると言うことなんですよ(ユーティリティ・コンピューティングの一種のオンデマンド・ストレージの個人向けだと考える方が素直かも…)。PCを買い換えた場合のデータの移行も必要ありませんし、利用する端末が複数台ある場合のデータの同期も必要ありません。そんなワケでアタシのPCの「マイ ピクチャ」やMacの「書類」ファイルに画像ファイルは一切存在しません。

iPodやiTunesに当てはめて、ちょっと将来の可能性を考えてみても同じことが言えそうな気がします。iTunesはローカル・ボリュームを利用していますが、iPodがMacに接続されてさえいれば、iTunesスキンという可能性もあるんですよね。もしくは、強引かもしれませんが、iPodがネットワーク・ノードとして機能し、MP3ファイル専用のリモート・ボリュームとしてサービスを提供してくれれば、iTunesスキンを搭載した権限のあるネットワーク・ノードからは、そのiPodのデータを非同期に引っ張ってくるとか、または、特定のiTunesスキン経由でリモート・ボリュームとしてのiPodにファイルを確定的に保存するとか(だって最大60GBもの容量があるんですよ…)。もしくはFlickrよろしく、iPod@Netみたいなリモート・ボリューム・サービス(こちらは著作権と利用権限の面を上手く管理するカラクリがキモになりそうですが)が登場しても良いですよね。

ボリュームがどこにあるのかと言うことを意識せずに済む帯域を手に入れた後、今度は非同期と言うものに隠されていた新しい可能性がどんどん広がってゆくでしょう(考えれてみれば、Ajaxも非同期の見方を変えてそれを武器にしたワケですね)。今月号のSoftwareDesign誌の「Kyleのシリコンバレー通信」にも、チョットだけですが、同じようなコトが書かれている部分があります。きっと、みんな思い描いているのは、同じような世界なのでしょう。

Knowledge Navigator Concept by Apple: 1987

ところで、アタシもWeb進化論を読んでみました。現場に近いニンゲンからすれば、確かに一部で言われているように「現状のおさらい」的な面があるかも知れません。しかし、噛み砕いて良く整理された内容なので、全体像をいまひとつつかめていない人にとっては良い読み物だと思います。

Web進化論に触発されたワケではありませんが、アタシが思うに、Webの世界とリアルな世界における情報の伝達のされ方とそれに対する人々のフィードバックって、ニンゲンの身体の情動ストレスの自律神経系による伝達方法と神経内分泌系による伝達方法やフィードバックの差異にとっても似ていると思うんですよ。個々の人間を細胞として捉え、その細胞が集まってできているニンゲンの身体を世界に例えると、そんな気がするんですよね。

っと、まぁコレ以上書くと泥沼の世界にハマってしまいそうなので、今はこれ以上書きません。そのうち誰かが複雑系の世界と合わせて、その謎を紐解いてくれるでしょう。

|by Nagarazoku : 00:24コメント (0)トラックバック (0)

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