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2005年12月03日
【
無謀にも、大市でスッポンを食す 】

先週末、嫁方のご両親と共に京都散策をしたのは既述の通りなのですが、その折、分不相応にも大市で晩飯を食ってまいりました。
「オマエごときに大市のスッポンの味が判るか!」とか厳しい批判も外野から聞こえてきたりしますが、まぁ、「食える時に食っておけ」と言う我が家の家訓(たった今掲げた家訓なのだが…)に則り、また、食うことを愛してやまぬ大阪人の根性と厚かましさを最大限に発揮して、われらの食い意地と食道楽を保持しようと決意し、赴いたワケであります。
大市と言えばかなり有名なお店らしく、文芸作品などにも度々登場しているらしいのですが、世事に疎い(と言うより、井の中の蛙)アタシは数年前までその存在を知らなかったのです。
今回も最初はスッポンなら身近な「神田川」か「味神田」で済まそうと気楽に考えていたのですが、予約を入れておこうと思って電話をかけたら、コトもあろうに両方ともが日曜日がお休みだと、不意をつかれた足払いどころか、門前払い状態。以前は日曜もやってたような気がするのに、北の新地も、それ程までに荒んだのかと思いつつ、電話を切った次第。
で、神田川以外でスッポンを食わせる店なんぞ知らないから(と言っても神田川でも食ったコトなんぞなかったのですヨ、実は)困ったワケです。
と、その時思い出したのが、以前よくシゴトの帰りに立ち寄っていた店のバーテン君のハナシ。
曰く、「京都にスッポンの老舗があるケド、名前は思い出せない」。
ナンジャ、ソリャ。
このバーテン君、実は広尾界隈の御曹司だったりするので食い物のハナシに関してはかなり信憑性のある情報を持ってたりするのです。しかもそのスッポンの店には、婆さんの鞄持ちとして常に同行するという、なんとも御曹司らしい言動。新幹線に乗ってわざわざスッポンだけを食いに行く、しかもそれだけの価値がある味だとも言うし。しかし本人は鞄持ちの金魚の糞なので、当然のごとく場所も店の名前を覚えていない(このあたりが御曹司然としててヨロシイ)。
ここまで信憑性のあるハナシを聞いていれば、調べてみないワケには行かない。しかも当日は京都観光だから、大阪に舞い戻る前に京都で晩飯を食うのも全然問題ではないですし。と言うか、ググったら一発で出てきたし。なんとも無知なジブンが情けない。
で、お店の名前は「大市」。

建物は320年以上前の商家。ハナシを聞けば、数年前に基礎はやりなおしたらしい。でも上モノはそのまま、昔の風情。文化財としての登録も薦められたというが、さすれば建物の中で火を扱えなくなるので、商売にならないと言う顛末で文化財登録もせず、こうして私達に貴重な空間を享有する機会を与えてくれてたりする。なんとも立派と言うか、これこそ商いのあるべき姿。
上がり框の脇に置かれた暖炉裏もかなりの年季。もちろんその上の鉄瓶だって年季モノ。
そして通された奥の座敷の明かりの具合が、これまた丁度良い。「ぽぉ」っと明るい。決して明るすぎなく、暗すぎない。市松模様の上品な畳もさることながら、出てくる食器の素直さと言ったら、こりゃチョット市井のニンゲンには勿体無さすぎるんじゃないかと思えるお品。その手のモノに目ざとい嫁は、マジマジと一品ずつチェックしておりました。
出てくるお料理は「突き出し」「鍋」「鍋」「雑炊」「水菓子」の順番。聞いたところでは、コークスでチンチンに焼いて出されてくる鍋は5年と持たないそうです(1日毎に鍋は休ませているそうですが)。鍋は火から下ろされて木の台に載せられて出てくるのですが、部屋に届けられた時点でも、まだグラグラと煮え立っております。チョイと覗いて見たら、調理場から出てきて、木の台に載せられる瞬間の鍋底は真っ赤に焼けた鋳鉄のよう(土鍋なんですよ、コレ)。

スッポンのスープに燗酒をチョイと入れて飲むのが、コレまたイケます。迂闊にも、最初にビールを頼んでしまったのですが、やはりビールより日本酒の方が相性がよさ気。
スッポンと聞けば巷ではゲテモノ扱いする人もいてますが、そりゃぁ食わずの何とか(生き血のワイン割りとかは下手モノだと思いますが)。コラーゲンもタップリで、美容と健康に優れた効果も期待できそうなスッポンは、我が家の嫁曰く「優しい味」だそうです。
来月のカードの明細は金額を見るのが怖いので、そのままシュレッダーにかけようと決心しつつ、ま、年に1度くらいは良いではないかと、そんな風に思わせるあたりが、なかなかスッポンの妙なのだと納得して帰ってまいりました。
P.S.
これほどまでの老舗であれば連日予約でいっぱいだろうと聞いてみれば、仲居さん曰く「それでも、暑いときは坊主の日もありますえ」だそうで、そんなハナシを聞けば、天邪鬼なアタシは「夏のクソ暑い京都でスッポンを食うのはどうだ!」なんて、無謀な計画を既に練ってたりするのであります。
|by Nagarazoku : 12:29|コメント (0)|トラックバック (0)|
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