≪ Like A Universe |メインページへ戻る| スパコン競争、不毛だねぇ ≫
2005年06月02日
【
豊かに生きるための公約数 】

Paul Grahamの「
ハッカーと画家」を読んでみた。自分は絵描きになるもんだと、アタシは子供の頃から高校に入るくらいまで大マジメに思ってたし、その後もしばらくは余波に浸ってたりもした。当時の知り合いなんかは、システムだの翻訳だのと言う今のアタシの生業を聞くと耳を疑う。ホットイテクレ。余談はさておき、そんなアタシは、この本のタイトルに惹かれて買ってしまったのだ。
まんまと本の題名に騙されたと思いきや、思いのほか素晴らしい内容。題名はあえて「ハッカーと画家」だが、このハッカーの部分には「人生」でも「アナタらしさ」でも当てはめるコトができると思う。ちなみにハッカーと言うのは世間で言われているハッカーではないので、念のタメ。悪い子はクラッカー。システムに精通してたり、何かを生み出すために精通しようと日々切磋琢磨するのがハッカー。お間違えなく。
題名が「ハッカーと…」であり、プログラミング言語周辺の事情を縦軸に中身が書かれているが、それは著者の住む世界がそうだから。著者が書きたかったのは未来の在りかた、そしてソレを生み出す一人ひとりの人生への向き合い方だろう。どうすればもっと世の中を効果的に「良い方向」へ変えてゆけるのか、著者は開発周辺の逸話を通して説きたいのだろうなぁとアタシには思えた。誤解だったらゴメンナサイ。
第15章には「デザインとリサーチ」というセクション・タイトルが付いている。その中で著者は
デザインとリサーチの違いは、良さ対新しさ*の問題だと言えると思う。デザインは必ずしも新しくある必要はないが、良くなくてはならない。リサーチは必ずしも良くある必要はないが、新しくなくてはならない。この2つの道は頂上で一緒になると私は思う。最高のデザインは新しいアイデアでもってそれまでのものを凌駕するだろうし、最高のリサーチは新しいだけでなく、解くに値する問題を解くのだ。
と記している。このあたり、モノを生み出すコトを愛し、そのキモチを大切にし努力を惜しまずあらゆる角度から造詣を深めていった著者だからこそ言える台詞。鵠的を射るとはこのコトだろう。
プログラマやその周辺のヒトビトだけに読ませるの、ちとモッタイナイ内容だな。その辺の書店で平積みされてる下手なビジネス指南書やQL本よりコッチの方が、100倍は優れてると思ったのだが。ヒトが豊かに生きるための、一つの公約数みたいなモンを垣間見た気がしたのだが、果たして他の読者はどんな風に感じるのだろうか。
[
*] 原文を読んでないから判らんが、邦訳では「新しさ対良さ」となっていた。前後を考えて並列表記するなら「良さ対新しさ」なので、キモチワルイのでアタシが勝手この引用で直してます。悪しからずご了承ください。
P.S.
著者のPaul Graham氏、実はLisp信者だったりする。AIな現場で御用達になって、近年高い潜在能力を見せ付けてるLisp言語。アタシが始めてこの言語に触れたのはAutoLisp(正式にはLispライクな拡張言語だな)でだが、几帳面なアタシはパーレンの塊のような判りやすさ(一説ではこれがネックだとも言われている)と柔軟性に感動した。後年Apple社のATGが解体された時、ベーパー・ウェアとなってしまったSK8というインタプリタ言語による開発環境に触れることができたのだが、その根幹がLispによる自己拡張で構築されていると言うコトを知った時にも、これまたその優れた可能性を実感したもんだ。著者がシンプルで基本のシッカリしたモノを支持するのは、Lispの持つこのあたりの真髄を知り尽くしているからなのだろうなぁ。
|by Nagarazoku : 00:04|コメント (0)|トラックバック (0)|
トラックバック・スパム対策のため、このBLOGへのリンクを持たないページから送られたトラックバックは自動的に拒否されます。悪しからずご了承ください。
また、このエントリと全然関係の無い内容のページからのトラックバックは、アタシ的な判断で勝手に削除します。これも又、ご了承くださいマセ。
■このエントリーのトラックバックURL ≫ http://www.nagarazoku.com/mvt/mt-tb.cgi/116