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2005年04月25日
【
Thin Clientの花は咲くか? 】
Thin Client(以下シンクライアント)はPCと全く逆の発想で創られたサーバ集約型のリッチ・クライアント環境だ。演算力の全てをサーバに負うことは無いが、通常クライアント側に用意されるリソースは必要最小限に抑えられる。シンクライアントを利用することによる恩恵には様々なものがあるが、その中でもクライアント機の保守が容易であることと、情報の一元管理が最も目玉とされるものである。そしてクライアント機の記憶媒体や外部接続機能を制限することで、情報漏洩に歯止めをかけることが可能であるとされている。
個人情報の保護などで各界がセンシティブになっている今、「情報漏洩に対する歯止め」と言う謳い文句は一部のユーザにとって大きな訴求力を持つ。
先週シンクライアント版のWindows XPが進んでいるとの情報が流れた。Windows CEで動作して上位のOSの機能を利用できるシンクライアント・ライクなWindows Terminalは今までも存在したが、Microsoftも今回は本腰を入れる様子。以前からウワサは流れていたが、今回はIDGから流れている情報なので、実際の登場は間近ではないかと推測される。はたして、Microsoftが提供する強力なサーバ集約型デスクトップ・プラットフォームは、Thin Clientのブームを巻き起こすことができるのだろうか。っと書き出しておいていきなりハナシの腰を折るようだが、銀行や特定用途の業務端末を除くと、そんなに受けないのではないかと思ってしまっていたりもする。
箱モノのシンクライアントの代表格は1999年からSun Mycrosystemsが発売しているSun Ray Ultra Thin Clientだ。しかし、これまでの6年間の実績を見る限りでは、やはりユーザの求めているものとは違うのではないかと思わざるをえない、米国では政府や軍部向け、そして金融関係で有る程度の浸透を見たが、残念ながら当初目論んでいたほどの普及は実現できていない。Sunの社内でも標準の業務端末はSun Ray Ultra Thin Clientになっているが、実際に外部との接触を持たざるをえない営業職等は「自前」でWindowsノートを持ち込んでいるのが現状だったりする。側で見ていて、とても不憫である。
そもそもシンクライアントの定義もすごく曖昧になってきた。静的な記憶媒体を一切持たない箱モノから、VNCのようなネットワーク越しの仮想デスクトップ、そして今回ウワサされてるWindowsのシンクライアントのように一定容量のハードディスク・ドライブを搭載して、OSのコアな部分とビュアー・ソフトウェアをローカルに搭載するものまで様々なものが存在する(UNIX系や旧Mac OSのNet Boot、そしてX端末も広義のシンクライアント)。先のSunなどではあまりの売れなさに、最新のSun Ray 170では普通のPCの液晶モニターとしても利用できるようになってたりする。もう、すでに「なんだかなぁ」な状態なのだ。
IT投資が充分に行える企業では、有る程度まで業務端末のシンクライアント化が進むかもしれない。だが、資金が潤沢にない企業では、そうは行かない。社屋の外で仕事をする人たちもシンクライアントを手にして外へ出てゆけるかと言えば、これも現実的ではない。良い意味で選択肢のハバは広がるワケだが、その尻拭いをするのは結局ハードウェア・ベンダーやSIerなのだろう。そして現場の業務担当者は、シンクライアントと通常のPCの2台で仕事をしなければならないハメに陥るのではないかと懸念してたりもするワケだ。
広い帯域幅の確保でき、それなりに使える環境が整いつつあるのは事実だ。しかしインフラストラクチャの整備と「使う側の視点」は別だと言うことを、もう少し考える必要がある。燃費が良く、いくら環境に優しても軽自動車がメインストリームにならないのと同じなのだ。都市部で電車バスの利用を促しても、やはり営業さんは車を使わざるを得ないのと同じなのだ。
懐疑的な意見で申し訳ないが、シンクライアントを過信しすぎて、情報漏洩の落とし穴が生まれるかもしれない。別の意味で複雑化が進んでしまうかもしれない。(今回のトレンド・マイクロさんのような不慮の事故で)サーバがやられたらお陀仏でもある。情報漏洩に関しても、画面に表示可能なものなら人的にメモをとることでも起こりうる。う~ん、考えれば考えるほどシンクライアントを使うメリットが見当たらないな。
唯一可能性があるとしたなら、従来のPCをパーソナル端末に見立てて、シンクライアントで利用するサーバのリソースとPCに保管できる情報を同期させることができ(PDAのように)、それをFileVaultのようにボリューム単位で暗号化すれば使い勝手は向上するのだろうが、手順がフクザツすぎのような気もする。

過去10年、箱モノを提供するベンダーはシンクライアントの花を咲かせることができなかった。世界最大のソフトウェア・ベンダとして、Microsoftがどのような手を打ってくるのか楽しみにしていたりもする。果たしてThin Clientの花は咲くのだろうか?
画像は、アタシが使ってるVNC環境。サーバOSはMac OSX、クライアントはWindows XP。ごらんのようにネットワーク経由し、Windowsのウィンドウの中でMac OSとそのアプリケーションを利用することが可能。オフィス系アプリケーションなら「それなり」に使えたりする。
|by Nagarazoku : 11:54|コメント (0)|トラックバック (0)|
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