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2005年04月18日
【
そろそろ間引いてみない? 】
Apple社の快進撃が止まらない。
同社のプレスリリースによれば前年の同四半期比でMac本体の出荷台数が
43%増、iPodが
558%増だそうだ。コンシュマー向けの製品とは言え、決して万人向けの商品でもないハズなのに、なんだコノ数字は。世界的な景気の低迷云々が伝えられる中でこんな数字を見せられたらそれだけで嬉しくなってしまう。この実績を見ていると、結局のトコロ、メーカやベンダーがイノベーションだの革新性だのと謳ったところでエンドユーザの支持を得られなければ何にもならないコトがよくわかるではないか。
たとえば「コストと複雑性を削減します」と言うのはここ数年Sun Microsystemsが気に入って使っている常套句だ。コトバだけ見ると、ナルホド良い謳い文句だ。しかし先週発表された同社の実績を見る限りでは、その効果は一向に現れていない様子。同社の技術力は素晴らしいものがあると思うが、ユーザが本当に必要としているものを提供してきたかと問われれば、その答は残念ながらNOだ。事実、アタシももうSunのワークステーションを使わなくなった。唯一サーバ機が1台稼動しているが、これもできれば86機に置き換えたいくらいである。不具合が出てないから使ってるに過ぎない。LinuxでもFreeBSDでもOSXサーバでも代替が可能だ。今後バカ高いSunの機材を購入することも無いと思う。
ここ数年Appleを見てて思うのは、同社が間引くことの大切さを覚え、それを武器にしていることだ。コトバにこそしていないものの、「世の中こんなにフクザツになっちゃって、どうせならもういっそシンプルにしませんか?」とメッセージを送り続けているように見えて仕方が無い。もともとレインボーカラーだったリンゴの図案が白一色になったアノあたりから、同社がこのメッセージを投げ続けているように思うのはアタシだけだろうか?
筐体の種類を減らし、ラインナップを整理し、そしてデザインや印刷業界からの非難を浴びつつOS 9を葬りOSを基本一本化し、徹底的にストリームラインを図った。OS Xは堅牢性が売り物だが、それもそのハズ、NeXT Step時代からの実績があり、コンシュマー市場でWindowsと互角に戦えるだけのポテンシャルがあることは、最初から織り込み済みなのだから。
そしてiPod。PDAの元祖とであるNewtonをひっこめた時から、何かハンディなデバイスを企画しているとウワサは飛び交っていた。恐らくあの頃から、旗振り役のスティーブ・ジョブズのアタマの中には、iPodやiTunesのイメージがあったのではないだろうか。その頃造られ始めたiPodのモックアップを見た誰かが、ハンディなデバイスのウワサを流したのではなかろうか。
ジョブズは1988年に黒いキューブを発表した時から、すでにユニファイド・コミュニケーションを妄想(実際は機能しなかったし)し、イメージの世界に生きてきたヒトだから、そう考えてもおかしくない。彼も紆余曲折あって社会に打たれ、世間に揉まれてAppleに戻ってきた。そしてその頃、Appleも進むべき道を見出せなくなっていた(フォント環境が日本と違う米国では、DTPもすでにAppleの牙城ではなくなっていた)。Appleの生みの親が、Appleと言う子供の元に戻って、そしてその時から、同じ失敗を繰り返さないよう一歩ずつ、一緒に歩き始めたのだろうとアタシは思っている。「繰り返さないよう」に注意した「失敗」と言うのが拡大路線。
Windowsを見ていてもわかるように、拡張路線は諸刃の刃でもある。EUからは独禁法でイチャモンを付けられ、シェアがあるからセキュリティの穴は突きまくられ、気がついたら違法コピーだらけだし。儲かってるから何かにつけ悪者にされちゃうし(個人的には、PCの広告に入れるコトになってる「▲▲社がおすすめするWindows XP」と言うレギュレーションは無くした方が良いと思うが…。あんなコトして偉そぶるから、嫌われちゃうのよ)。
iTunesもiPodも、特別新しい技術やアイデアでは無い。iPodが出る前からPDAでもMP3フォーマットの音楽は聴けた。有償の音楽配信サービスもすでにあった。Appleがやったコトはアイデアを大切にして市場が醸成するのを待ったと言うコト。そして必要の無いものを間引き、ユーザが必要としているいるモノだけを、使いやすいカタチにまとめ上げて提供したということ。だからこれだけ支持されているのだろう。コトバだけのイノベーションや、自分たちの徳にならない革新性ならユーザは見向きもしない。
これから先Appleがどうなってゆくかは、アナリストもわからないとコメントしているが、これまでの軌跡を見る限り、私たちがAppleから学ぶべきことは少なくない。技術が多様化し、世の中がどんどん複雑になってしまっている時代だからこそ、企業は間引く勇気が必要になる。増やすのは容易い、どうやって減らしてゆくかが問題なのだ。
P.S.
Sunのコトで鬱憤をもう少し。興味の無い方は読み飛ばしてください。
90年代後半のITバブル絶頂期にアチコチのIT企業を買収しまくってツギハギ技術をユーザに押し付け、自分から複雑にしたのがSun。ワークステーション・ユーザをワキへ置いて、単価の高いサーバ機をメインに販売しはじめた。そんな企業が今更「複雑性を削減します」で、さらにユーザからカネを巻き上げようってな考え方が、どうにもこうにもオチャラケすぎ。同社の柔軟で日和見的な経営指針を反映してて面白いと言えば面白いが。
c|netジャパンの
2003/02/28 14:28の記事で「Sunは、自社製品強化のために、より多くの買収を行うという方針も発表した。」とあるのに、米国の本社サイトにある
2004年の8月のReality Checkでは"Sun solves complex computing issues through R&D, not M&A (mergers and acquisitions)."なんて書いてる。
邦訳が無いかと探してみたら、あったあった同社の日本のサイトの
2004年3月のReality Checkだ。「Sun は複雑なコンピューティング問題を M&A(買収合併)でなく、R&D で解決します。 」と恥ずかしげもなく書いてある。ちなみにアタシの記憶にあるだけでも同社がここ数年の間に買収した企業は10を下らないハズだ。Afara Websystems、Cobalt Networks、Gridware、Terraspring、Infrasearch、StarDivision、Clustra、Systems Inc、InteractiveUNIX、Afara Websystems、Chorus、Beduin、Lighthouseと、ちょと思い出してみてもこれだけある。即刻上記のような内容は削除し、全国紙に見開きで「ウソこいてました」と、ユーザに対して謝罪広告を入れてもらいたいもんである。
|by Nagarazoku : 00:53|コメント (0)|トラックバック (0)|
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