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2005年04月07日

【 プレゼンス管理を考える 】

米国式のビジネスおよびマーケティング・モデルを色濃く反映させているIT業界は、次々と新しいキーワードを投入してユーザや消費者を惹きつけようとする。IT業界だけではないかも知れないが、技術的なコトが絡むIT業界ではその傾向がより一層強いような気がする。古くは「マルチメディア」(アタシの友達はCD-ROMのコトをマルチメディアだと信じて疑わなかった)、昨年アタマに一瞬で消え去った「アジャイル・プログラミング」、そしてみんなが訳し方に困ってる「ユーザ・エクスペリエンス」など、コトバをどんどん使い捨てにする悪い癖もある。ひょっとしたらアタシがその現場に近い場所で仕事をしているので、そう思うだけかも知れないが。

とにかく、コトバを変えてユーザの目先を変えようとする悪い癖だけはどうにかしてもらいたいものだ。MicrosoftのOfficeシリーズのように表計算、ワープロソフトなどを一式でオフィス・スイート(Office Suite)と呼ぶのはまだ良いとして、これらをProductive SuiteやOffice Productivity Suiteとされた日には、日本語に訳す方もタイヘンである。メールシステムをメッセージング・システムなんて書いちゃってる時もある。インスタント・メッセージングが台頭している昨今では、素人さんが読んでしまうとひょんな勘違いすら出てきかねない。

さて、お題目に書いた「プレゼンス管理」だが、このプレゼンスとはなんぞや? 「ナニかプレゼントでもしてくれるんかいな?」なんて思っちゃったりするヒトが居ないとも限らない。ヒトコトで言えば、インスタント・メッセンジャーやチャットで「ただいま退席中」とか「手がはなせません」とか「ログイン状態を隠す」とか「今ドコソコへ行ってます」とか表示するアレである。あの機能を総称してプレゼンス管理(Presence Management)と呼ぶ。こう書いてしまうと「なぁ~んだ」と言うカンジだが、ダレも「所在管理」や「在籍」とは訳してくれんし、訳したトコロで朱書きを食らう。ここ1年半程の間で、業界の中では日本語でもプレゼンス管理でまかり通るようになってしまった。ちなみに翻訳者はダレでも持ってると眉唾モノの噂に名高い研究社のリーダーズ・プラスでは「presence」と言う単語を以下のように説明している:

1a (opp. absence) 存在, 現存, 実在; 《軍隊の》駐留; 出席, 臨場, 参列; 近接〈of danger〉; 【音響】 臨場感; 【植】 《群落内の特定種の》常在度, 出現度.
・Your presence is requested. 御出席を請う.
b 面前, 人前; [the ~] □御前; 《廃》 →PRESENCE CHAMBER.
・be admitted to [banished from] the royal presence 拝謁を許される[御前から退けられる].
2 風采, 態度, 押し出し; 風格, 威風, 《役者などの》貫禄.
・a man of (a) noble presence 気高い風采の人.
・have a poor presence 風采が上がらない.
・have (a) presence 風格[貫禄]がある.
・stage presence 舞台上での貫禄[存在感].
3a 居る人, 在るもの, 堂々たる風采の人物; 《古》 出席者たち, 会衆.
b 霊気; 幽霊, 妖怪, 物の怪(け).

これで「Presence Management」をやっつけようとすると、余計にワケが解らんようになるな。

別に「プレゼンス管理」ナドと言うカタカナ言葉を頂戴しなくても、アナログな時代から営業の現場などでは、行き先掲示板や行動予定表とかでPresenceを管理する機能はあった。機能(function)はあったが、実際どれほど機能して(perform)いたかは、その自己申告制に寄るトコロが大きいので、ハナハダ怪しいものであった。「営業職の中には、そんなモノを書くのはウザい、数字出せばよいのだ!」的な方もいらっしゃると思うい、結局のところ使ってもらわなかったら、意味の無い代物。Webを利用した日本式グループ・ウェアの草分けであり、今ではナニがしたいのかワカラナイ状態になってしまったサイボウズにも「行く先掲示板」ってなモノがあったような気がする。

さて、このハナシが何処へ落ち着くかと言えば昨今取りざたされているIP電話のハナシに行き着く。NTTドコモのFOMAを、事務所内や構内でIP電話(販促カタログ等ではIPフォンとカタカナ表記されておるが)化して、社内ならいつでもドコでも自分のケータイにダイヤルイン出来ちゃったり、自分のケータイで社内の内線が使えたりと言う夢のようなソリューションをNECあたりが提供しているが、ナカナカ思惑通りには機能していない。ケータイ電話が端末となっていることで、場所をわきまえず鳴り響かれたりすると困るのでご丁寧に「プレゼンス」機能が搭載されているのだが、結局ユーザがキチンと設定しないと意味が無い。と言うか、導入事例を参照する限り、ほとんどのヒトがキチンと設定していないらしい。結局はアナログ時代とナンら変わってない。と言うよりニンゲンの特性がこの手のテクノロジーで補完されるとも思わんが。

ソリューションを提供している側は、先進の機能をウリに1台で数万円(5万弱だな)もする端末を売り込んでいるコトもあり、対応策の立案に躍起になっている。部屋への入退室を自動的に察知できるセンサーを戸口につけ、プレゼンス管理機能と連携させるとか(本末転倒なハナシだな)、ケータイの位置情報から状態を推測してプレゼンス情報を更新するとからしい。結局はそういった機能を「満載」することで、そのコストはユーザ側に跳ね返ってくるのだろうが。なんとも開発の裏側はナサケナイ現場に成り下がりつつあるコトか。

企業の皆さんは、デジタル化したからってプレゼンスを確実に管理でき、業務が効率化するなんて絵空事を真に受けないで欲しい。プレゼンスなんて管理しなくても、報告や告知するヒトはキチンとするだろうし、しないヒトはナンボ言ってもやらないのは誰でも知ってる。そんなヒトでも仕事をこなせるヒトはこなすだろうし、ダメだったヒトは淘汰されるだけ。技術でニンゲンの特性まで補完はできません。

誰もがケータイ電話持ってる時代、それだけでいいじゃないと思うのはアタシだけ? 緊急時には電話できるし、ボイス・メールも残せるし昔に比べたら天国なのに。WILLCOM(旧H":PHSだな)なんて月額3000円以下で定額通話だし(バカみたいに高価な、NECの構内PHS導入した企業や病院はアタマにきてるだろうねぇ)。それに「日本の都市部における現在のユビキタスなコミュニケーション環境は、動物としてのニンゲンの限界にまで達している」なぁ~んて思うのはアタシだけなんでしょうかねぇ。

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